コラム⑧ いま改めて見直したい確定拠出年金の基本と誤解について
1.はじめに
確定拠出年金(DC)は、老後資金の形成を目的とした制度として広く普及しています。しかしながら、「投資だから損をするのでは」「自分には関係ない」といった誤解も少なくありません。DC制度を正しく理解し、適切に活用することは、将来の生活設計において極めて重要です。本コラムでは、DC制度に関する基本と代表的な誤解についてご紹介いたします。
2.DC制度に関する基本と代表的な誤解
(1)「DCは投資だから損をするだけ?」
確かに、DC制度は投資信託など元本保証のない商品を選択することが可能です。しかし、DC制度の本質は「長期・分散・積立」による資産形成にあります。短期的な値動きに左右されず、時間を味方につけて運用することで、リスクを抑えながらリターンを得る可能性が高まります。損をすることが前提ではなく、むしろ計画的な資産形成を支援する制度です。
(2)「会社が拠出してくれているから、何もしなくていい?」
企業型DCでは、企業が掛金を拠出するケースがありますが、運用の主体は加入者本人です。初期設定のまま放置していると、元本確保型の商品に自動的に預けられている場合もあります。自身の年齢やライフプランに応じて運用商品を見直すことで、より効果的な資産形成が可能となります。
(3)「退職金とは別物で、自分には関係ない?」
DC制度は、退職給付制度の一環として導入されている企業も多く、将来的には退職金の一部として支給されるケースもあります。したがって、「まだ先の話」と捉えるのではなく、早い段階から制度を理解し、向き合うことが重要です。
(4)「税制優遇があるって本当?」
税制優遇があります。DC制度の大きな魅力のひとつが、税制上の優遇措置です。たとえば、運用益は非課税であり、個人型DC(iDeCo)では掛金が全額所得控除の対象となります。
企業型DCの場合、掛金は所得税・住民税の課税対象とはならず、全額が非課税扱いとなる点が基本的なメリットです。制度設計によっては社会保険料の算定対象外となるケースもあり、従業員・企業双方にとって保険料負担の軽減効果が期待されます。さらに、将来の給付時には退職所得控除や公的年金等控除が適用されるなど、受取時にも税制上のメリットがあります。
3.まとめ
DC制度は、将来の資産形成を支える有効な手段です。制度の仕組みや税制上のメリットを正しく理解し、自らのライフプランに合わせて適切に活用することが重要です。誤解や先入観にとらわれず、制度の本質を捉えることで、より安心した将来設計につながります。
将来の安心のために、今からDC制度を正しく理解し、活用してみるのはいかがでしょうか。